急に具合が悪くなる(☆3.8)

screen

監督・脚本:濱口竜介

脚本:ルディムナ玲亜

原作:宮野真生子、磯野真穂

キャスト:ビルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三 他

配給:ビターズ・エンド

あらすじ

パリ郊外の介護施設「自由の庭」で施設長を務めるマリー=ルー・フォンテーヌは、入居者を人間らしくケアすることを理想としながらも、人手不足やスタッフの無理解に悩まされていた。そんな中、日本人の舞台演出家・森崎真理と出会ったマリー=ルーは、がん闘病中の彼女が描く演劇に勇気をもらう。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて交流を始める真理とマリー=ルーだったが、あるとき真理は急に具合が悪くなる。真理の病の進行とともに2人の関係は深まり、互いの魂を通わせ合うようになっていく。(映画.comより)

 

3時間16分は感じない

楽しみにしていた濱口竜介監督最新作。
3時間16分という長さを感じることなく映画の世界に浸っていられました。

時間が穏やかに流れていって、時に胸を締め付けられながら
2人の行く末を静かに見守っていく感覚。

以下、ネタバレあり

 

2人の外国語がすごい

最初に思ったのは、ビルジニー・エフィラの日本語と岡本多緒のフランス語。
特にビルジニー・エフィラの日本語は元々少し話せる人なのかなと思ったほど
上手いというか、スラスラ話していてすごいなと思った。

この映画のために練習したんだと思うけど、大学時代を日本で過ごした設定としては
十分な日本語だったと思う。

こういうところって細かいけど、意外と引っかかったりするから
本当に丁寧に作られているなと感じた。

 

認知症の話は普通にためになった

普通の人の時間の流れは線で、認知症の人は点。繋がっていない。
だから毎日タイムスリップしているようなもので、それを否定されるとパニックになる。

確かに。

今が2026年だと思って生きているのに、
「何言ってんの?2100年だよ?」とか言われたらそりゃパニックになる。

知らない人が急に目の前に現れて、自分の行く末を阻んで
腕をつかんできたらそりゃ怖い。抵抗もする。当たり前。

・視野や聴覚が狭いから、普通の人より近い距離で優しく話しかける。
・顔や腕は敏感で急に触れられると怖いから、肩とか敏感じゃないところを触ってあげる。

普通に勉強になったし、なんかすごい腑に落ちた。

 

長い資本主義の話し

これが意外と聞いていられた。

半分も理解はできていないだろうけど、なぜだかちゃんと頭に入ってくる。
頭いい人ってこういう話好きだよな。(笑)

でも楽しいんだろうな。

価値観もそうだけど、知能が近いことも
あそこまでの関係性になる1つの要因だと思う。

 

マリーとソフィの対立もちゃんと筋が通ってる

自分の母親の経験もあって、根本から環境を大きく変えていきたいマリーと
現場のリアルを知って、現実的な体制を作ってほしいソフィ。

ソフィがいじわるで無茶を言っている訳ではなくて
ソフィはソフィなりに自分の経験や、看護師の仲間を見ているからこそ
マリーに意見して立ち向かう。

ソフィからしたら、マリーの言っていることは理想論にしか聞こえなくても無理はないなと思う。

それをしっかり物語の中で示していくのも丁寧だなと思った。
無理やりにではなくて、あくまで物語の中で示す。
ソフィーがただのいじわるババアではないことは、いくつものシーンで感じ取れる。
1つじゃない。

考え方や視点の違いで、2人とも間違っては無い。

 

ありがとういつも勇気を出してくれて

これもすごいさらっと入ってくるんだけど。

1回目、あの川沿いで話しているときにマリーがした真理のガンに関しての質問に対して
「ありがとう」って真理が言って(確かガンの進行具合だったと思う。「急に具合が悪くなる」が出たとこかな)、

そのあと、京都の山で死ぬことが怖いかをマリーが聞いた時に
真理が「ありがとう、いつも勇気を出してくれて」って。

人が中々聞けないことを、マリーは勇気を持って、覚悟を持って
真理に聞く。

聞きにくいことだって分かるから、で相手がマリーだから
真理にはその想いが嬉しかったんだと思った。

ただ投げているわけじゃなくて、自分も傷つく覚悟を持って聞いてる。

これは原作にある描写なのか、濱口監督がつけたものなのか。

 

足の裏

施設の中庭でみんなで足の裏を触りあってるのは、随分怪しい集団に見えたけど
真理の家で2人で足の裏を揉みあうところは、なんだか良いシーンだった。

1人で地元で終わりを迎えようとする真理に、マリーが居てくれて良かったと心底思った。
フランスに呼んでくれて本当に良かった。

行かなそうな返事だったのに、ちゃんと行ったから安心した。(笑)

 

本当に丁寧に作られているなあと感じた。
本も、芝居も、みる人がしっかり映画の中に居られるように。

優しかった。みれて良かった。

 

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