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監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:オースティン・コロドニー
キャスト:ビル・スカルスガルド、デイカー・モンゴメリー、アル・パチーノ 他
配給:KADOKAWA
あらすじ
不動産投資会社メリディアン・モーゲージ社に財産をだまし取られたと主張する男トニーは、同社に押し入り、社長の息子で同社役員のディックを人質に取る。トニーは自分と人質の首をショットガンとワイヤーで結びつけ、動けば発砲される仕組みの「デッドマンズ・ワイヤー」を用いて立てこもり、警察も手出しできない状況を作り出す。現場からメディア出演を行うなど異例の行動を続ける中、世論は彼を非難する声と同情する声に分かれていく。膠着状態を打開しようと警察が突入に備える中、ついにトニーと社長が電話で話すことになるが……。(映画.comより)
待望のガス・ヴァン・サントの新作
「グッド・ウィル・ハンティング」をみてから、間違いなく新作は必ずチェックする監督の1人、ガス・ヴァン・サント。
日本で2019年に公開された「ドント・ウォーリー」以来の新作。
1977年に実際にアメリカで起きた人質事件が題材。
私は全然知らなかったけど中々にクレイジーな事件。
不動産ローン会社に恨みをもった犯人が、社長の息子を人質に取り
自分と人質の首をショットガンとワイヤーで繋ぐ。
動くと発砲する仕組みのため、警察は手も足も出せないという八方塞がり状態。
犯人が今まさに人質を連れて目の前を通っているのに、警察はただ見ているだけという異様な光景。
終始緊迫した状況が続くけど、なんとなくこの監督の作品ならではの丸みというか「抜き」のようなものがあって、
「クライム・スリラー」と言えど、犯人のトニーや人質のディックの人間性を垣間見れるシーンもしっかりあって
私の思う、ガス・ヴァン・サントな作品だった。
以下、ネタバレあり
悲劇も喜劇
ちょっとした動作で発砲されてしまう状態だから、犯人のトニー自身も慎重に動かなければいけない状況で
外に出たときにトニーが雪に足を滑らせてしまって、一瞬その場にいる全員がヒヤっとするようなシーンがあるんだけど
本当に当事者たちにとっては冷や汗ダラダラな状況なんだろうけど
はたから見てると結構コメディで。(笑)
本編でみてる時はさすがに笑いはしなかったけど、エンディングで実際の映像でそれをみた時は笑ってしまった。
コントやん。
AND Al Pacino
アル・パチーノ演じる人質の父親、つまりはトニーの本当のターゲットである不動産ローン会社の社長。
こいつがひどい。
合理主義で傲慢。
息子が自分の代わりに人質になっていて、死ぬかもしれない状況にも関わらず絶対に謝らない。
トニーの1番の要望は社長自らの謝罪で、それを飲めば大分状況は好転しそうなのに
「俺は悪くないから」謝らない。
息子に「頑張れよ」と言って電話も一方的に切ってしまう。
こいつが1番終わってる。
電話を切られた後、トニーも「え?」って引いてたもん。(笑)
息子に同情する時間が生まれてた。
母親も何してんだ。
アル・パチーノ素晴らしかった。
エンドロールの「AND Al Pacino」に痺れた。
正直そこであれがアル・パチーノって気づいたんだけど。(笑)
「あ、あれアル・パチーノか」って。
幼稚な犯人
あんな社長だからもちろん同情はするけど、トニーはトニーで
自信過剰でナルシスト
こっちも永遠に、「俺は悪くない」スタンスで
ちょこちょこ人質に気遣いを見せながら
「思ったより悪い扱いじゃないだろ」とか、
家族に電話させて
「俺も謝罪しているって伝えてくれ」とか、
「俺は悪い人間じゃないんだ」
のアピールがイライラした。
「ダチがラジオに連絡くれた」
「俺は国民的英雄だ」
「仕事が俺の子供だ」
と、結構イタい。
あの社長に「養うものがいないやつは本物の男じゃない」とか言われちゃって
明らかにトニーにヒットしてて、完全に社長の方が上手(うわて)だった。
警察も子供相手みたいにトニーに接してて、「はいはいわかったわかった」って。
でも本当にもうそんな感じだった。
段々子供が騒いでるようにしか見えなかった。
二分した世論
判決の結果、トニーは精神障害で無罪。
トニーを「イカれた容疑者」と見る人と、「悪徳不動産ローン会社に一矢報いた」と英雄視する人とで世論は分かれたらしいけど、
個人的には普通にやり過ぎだし、罰は受けるべきだと思った。
事件後あの会社が潰れてたのはざまあだったけど。
デッドマンズ・ワイヤー感想 まとめ
久しぶりにガス・ヴァン・サントの作品を劇場でみれてよかった。
主演のビル・スカルスガルドも良かったし、
ディック役のデイカー・モンゴメリーも、なんか同情できない人質で適役だった。(笑)
そして、アル・パチーノのクソ社長も最高だった。
シリアスな題材ながら、要所要所に人間の滑稽さがにじみ出る良作。

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