
©2026 ポニーキャニオン/東京テアトル/NHKエンタープライズ/RIKIプロジェクト
監督・脚本:石井裕也
原案:猪瀬直樹
キャスト:池松壮亮、仲野太賀、佐藤浩市 他
配給:東京テアトル
あらすじ
1941(昭和16)年4月、真珠湾攻撃の8カ月前。官僚・軍・民間から選りすぐられた若きエリートたちが、内閣総理大臣の直轄機関「総力戦研究所」に招集された。彼らに与えられた任務は、“模擬内閣”を結成して日米が開戦した場合の戦局をシミュレーションし、その結果を内閣に報告すること。宇治田を始めとするメンバーたちは、国家機密レベルのデータを駆使した激烈な議論の末、「日本必敗」という衝撃的な結論にたどり着く。しかしエリートたちが導き出した敗北の予測は、時代が放つ得体の知れない空気にのみこまれていく(映画.comより)
上映時間:138分
開戦前夜 ネタバレなし感想
1941年の日米戦争が始まる前に
その結果をシミュレーションし、日本の敗北を予想していた若者たちがいた
まず私はこの事実を知りませんでした
敗けることが分かっていたのに、日本は戦争を始めた
「なぜか?」
特に印象に残ったのは、研究所でさまざまな資料を提示しながら議論を続ける中
主人公の宇治田が感情を抑えきれなくなる場面
ここにはたくさん数字が並んでいるけど
1番大事な数字が書かれていない
また、開戦当時の総理大臣、東条英機の描かれ方も興味深くて
私の中では強権的な軍国主義者のイメージしかありませんでしたが
本作では多くの人と同様に、部下からの評価や世間の目を気にする
迷いや弱さを抱えた1人の人間としての側面も描かれていました
この東条英機のパートがあることで
戦争というものが、単に誰か1人の悪人が起こしたものではないことを感じさせられます
自分たちの国や家族を想い、必死で答えを導き出した人たちがいる
それでも、それぞれの想いや判断とは別のところで
さまざまな要因が絡み合い、大きな流れが生まれてしまう
誰か1人を悪者にして終わらせるのではなく、
「なぜ戦争は起こったのか」「どうすれば避けることができたのか」
観終わった後にしっかり考えさせられる作品でした
題材の面白さ、興味深さというよりは
この物語の中に伝えるべきことがあるからこそ、この映画は作られたのだと感じます
「こういうことがあった」「これだけの人が苦しんだ」という事実から目を背けず
単純に「戦争はダメ」という当たり前の結論だけで終わらせない
そこに至るまでの人間の弱さや社会の複雑さ、さまざまな思惑について考えさせられる作品でした

特にこんな方におすすめ!
- 日本の歴史に興味がある!
- 観終わったあとに、いろいろと考えさせられる作品が好き!
- 実話をもとにした作品が好き!
- 社会や時代のことを考えるのが好き!
※以下、ネタバレあり
当事者不在の意思決定
この映画を観て、一番悲しいというか情けないというか腹が立ったのは
立場の弱い人が勇気をもって上の人間に進言しても
上の人間は面倒なことに巻き込まれたくなかったり、責任から逃れたいがために
自分では何もしようとしないこと
海軍のお偉いさんが近衛内閣の企画院総裁に「あなたから陛下に(?)戦争はできないことを言ってほしい」と頼みにいったのに
半笑いで「自分で言えばいいじゃん」みたいに言われるシーンがあって
「ああ、こういうことか」って
誰も責任を取ろうとしない
近衛文麿も敗けると分かっているから戦争はしたくなくて
総辞職というかたちで逃げてしまった
確かに宇治田たちにはそこまでの責任はないはずで
戦争をやめていたとして、世間の批判を浴びるのは宇治田たちではない
東条英機は東京裁判では自己弁護ではなく、国と天皇を守る発言に終始したと言われているけど
もし映画で描かれている東条英機の描写が正しいなら
なんでその勇気を、その覚悟をあの時に持ってくれなかったんだろうと思う
もちろん戦争を強行したのは、世間の目を気にしただけではなかっただろうけど
このレビューを書く上で、東条英機や近衛文麿について少し調べてみたりして
この映画の中で起こったことがもちろん全てではないし、簡単な話ではないから
考えをまとめようとしても、知らないことが多すぎて難しいけど
あれだけの人が犠牲になるということを、「亡くなり、悲しみ、苦しむ」ということを
上の方の人たちは、実際に犠牲を出した後も含め
どこまで実感を持って考えていたんだろう
それこそ、資料の上の数字ではなく
自分と同じ人間として


コメント