大統領のケーキ(☆3.5)

screen

監督・脚本:ハサン・ハーディ

キャスト:バニーン・アハマド・ナーイフ、サッジャードモハンマド・カーセム、ワヒーダ・サーベト 他

配給:松竹

あらすじ

1990年代、イラク。国民が戦争と食糧不足に苦しむなか、フセイン大統領は自身の誕生日を祝うケーキをつくるよう、国内の各学校に命じていた。祖母と2人で暮らす9歳の少女ラミアは、小学校で行われたくじ引きで“名誉ある”ケーキ係に選ばれてしまう。ケーキを用意できなければ、重い罰が待っているという。翌朝、ラミアは祖母に連れられ、父の形見の時計と、彼女にとって友だちの雄鶏ヒンディと一緒に町へ出かける。しかし、日々の食材すら満足にそろえられない祖母の目的はケーキではなく、ラミアを養子に出すことだった。とっさに逃げ出したラミアは、自らの手でケーキの材料を集めれば祖母との暮らしを続けられると信じ、クラスメイトのサイードと協力して町を駆け巡るが……。(映画.comより)

 

フセイン政権下のイラクに生きる子供たち

随分前から映画館で予告編を目にしてたけど、
予告で受けた印象よりもう少し深い内容だった。

ただ単純にイラクにはそういう風習があって、
ひょんなことからケーキ係に任命されてしまった女の子のドタバタ劇的な感じかと思ったら、
身勝手な大人に振り回される一生懸命で真っ直ぐな子供の話しだった。

国が問題を起こした時に、経済制裁として輸出入を制限することは知識としてはあったけど、
この映画をみて初めて実際にどういうことが起こるのか、身近なこととして理解できた気がする。

思ったより社会派だったというだけで、決して深刻すぎるわけではなく
あの頃のイラクを、ラミアの奮闘を通して感じることができた。

勉強になったし、子供たちのピュアな心と水上の生活が素敵だった。

以下、ネタバレあり

 

子供たちが忠誠の誓いを叫ぶ異様な朝礼から始まる毎日

校庭に集まってみんなで忠誠の誓いを叫び、教室に入ってからも先生がくると立ち上がって叫ぶ。

教師は完全に体制の手先で、自分はボテボテのお腹のくせにラミアのリンゴは当たり前に盗むわ
サイードのお父さんは侮辱するわ、最低最悪人間。

「俺は言うことを聞かないやつは通報するが、俺を恨むな」

恨むわ。

後から監督のインタビューを読んでいると、用意したケーキは教師が食べるらしい。

ラミアの奮闘をみた後に聞くと、本当にはらわた煮えくりかえる。

てか、誕生日祝わせたいのなに?本当に

 

ディズニー映画のような水上の生活

打って変わって、ラミアの生活圏はすごいファンタジー。

家が水上にあるから基本ボート移動で、扱い上手すぎて笑っちゃった。
ボートを漕ぐ時の水の音が良い。AMSR。

イラク南部にこういう広大な湿地帯があるらしい。
ヴェネツィアとはまた全然違う感じでこっちも素敵。

夜になると雄鶏連れて、ボートの上にランプ置いて宿題。

親友のサイードが「宿題終わったー?」ってボートでやってきて
横に並んでまばたきしちゃダメゲーム。

ファンタジー過ぎ。ディズニー過ぎ。

 

機嫌の悪そうな大人たち

町では材料探しに奮闘。 

最初の方に行ったお店の太った店主と妊婦さんが謎だった。
あれは結局ラミアの砂糖のために妊婦さんが身体を売ったってこと?

あんなあっさり?

砂糖と引き換えに妊婦とやって、病院送りにするって結構こっちは緊張感走ってたけど
車の中の雰囲気軽すぎて、解釈間違えてんのかなと思った。

出てくる大人がみんな不親切で嫌になる。

警察も、遊園地行きのバスの人も、遊園地でサイードのこと訊いたおじさんも、時計屋のおじさんも、極めつけのニワトリのおじさんも。あいつは別格だけど。激キモおじ。

ヒッチハイクで乗せてくれた陽気な郵便配達員さんだけ、びっくりするぐらい親切だったけど。

おばあちゃんのこともずっと面倒みてくれて、ラミア探して、最終的にお葬式まで付き添ってくれてた。

 

やるせないラストシーン

サイードとケンカして、卵も割れちゃって、おばあちゃんとも会えなくなったけど

ケーキは完成した。

そのケーキを食べるのは腹ボテのサディスティック教師。

「ホイップがあったら良かったけど、うん、まあうまい」

じゃねーよ。

拍手されて終わり。

本当、何の意味もない。

大人がすることと思えない。

こんなことのためにいっぱい悲しい思いをした。いっぱい泣いた。

ラストシーンは、爆撃が起こる中、目に涙をためながらまばたきしちゃダメゲーム。

まばたきはもうしまくってるけど、2人はやめない。

一生懸命生きている。

大人の身勝手さに腹が立つ。

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